文部科学省の生成AIに関するガイドライン
AIの進化は著しく、様々な業種で取り入れられつつあります。もちろん、文部科学省からAIを取り扱うためのガイドラインがでています。
このガイドラインによると、生成AIをどのような場面で利用し、どのように扱えばよいのかといった一例が載せられています。
文部科学省のガイドラインによると、「⽣成AIの性質やメリット・デメリット、AIには⾃我や⼈格がないこと、⽣成AIに全てを委ねるのではなく⾃⼰の判断や考えが重要であることを⼗分に理解させることや、発達の段階や⼦供の実態を踏まえ、そうした教育活動が可能であるかどうかの⾒極めが重要と考えられる」という記載があります。
このことから、AIの出力した内容をすべて信じるのではなく、最終的に自分の判断が必要だということになります。したがって、AIが導いた答えがたとえ合っていても、間違っているという判断を人間がしてもよいということになります。
そもそもAIって
では、そもそもAIって何なのでしょうか。おそらく、詳しい方もいれば、そうでない方もいるでしょう。私たちがいちばん聞いたことあるのはChat GPTではないでしょうか。
AI専門機関によって作られたChat GPTはユーザーの質問等にまるで人間かのように答えてくれるチャットボットです。世界中のインターネット等の情報を有し、様々なデータからユーザーが求めてれるものを回答してくれます。
ただ、世間的には
・誤った情報を示すのではないか
・個人情報の漏洩がおこるのではないか
などといった不安があるようです。
しかし、この不安は合っているようで間違っているものでもあります。この不安は多くの場合、無償版のChat GPT3.5を利用しているのです。Chat GPTには有料版と無償版があり、無償版の場合、上記のような問題が起こってしまいます。
無償版のChat GPTの場合、利用者の情報はビックデータ化され更なる開発のために使用されます。これが情報漏洩の危険性につながると考えられます。
また、みなさんは日本の首都と尋ねられれば「東京」と答えるでしょう。しかし、日本の一番の観光地はどこと尋ねられれば、「京都」や「奈良」といった古都を答える人もいれば、「東京」や「大阪」など都市を答える人もいます。無償版のChat GPTの場合、回答は多数の意見に収束します。そのため、有名な観光地などという多様な解が求められるものは苦手なのです。それが誤った情報を引き出すのではないかという問題につながります。
ただし、これは無償版であり、有料版のChat GPTであればこの限りではないのです。
なぜ今学校で生成AIの利用が求められるのか
学校教育で生成AIの利用が求められる理由は多様にあると思いますが、1つは時代的なものだと考えられます。もうAIは世の中に浸透してきたといっても過言ではありません。これからの時代を生き抜く子どもたちにとっては触れなければならないものでしょう。
もう一つが、society4.0からsociety5.0の転換でしょう。インターネットが普及する前の社会では知識をたくさんもっている、いわゆる生き字引のような人が重宝されました。しかし、情報社会と呼ばれるsociety4.0の社会では生き字引はインターネットにとって代わりました。インターネットの中にある膨大な情報からいかに早く必要なものを見つけ出し、そして自分のものとして新しいものを生み出すかが求められたのです。
数年前までこれが求められていました。
AIが普及するsociety5.0社会では今までと違う力が求められます。必要な情報を見つけ出し、新しい考えを生み出すのはAIの得意分野です。これまでの力はAIによって求められなくなりつつあります。代わりに、AIの力を引き出すために新たな問や視点を考え、思考を楽しむ力が求められるようになります。
新しい考えを生み出すのはAIが行ってくれます。ほかの人とは違う問や視点をもち、誰も予想しなかった角度から考えを生み出してもらうようにAIを利用できる人材が求められるようになるのです。
これは、課題解決型学習の最たるものといってよいでしょう。
AIの利用によってこれまで求められ、多くの教員が行ってきた課題解決型学習の実現が容易になるのです。
学校教育でどのようにAIを使うのか
では、学校教育ではどのようにすればよいのでしょうか。
文部科学省の例によると、学校教育では以上の利用が推奨、非推奨となっています。ここで分かることは、安易な使用はしないことです。
自分が楽をするためにしようすることは適切ではないとされています。そのため、面倒なので子どもに勝手に使わせようであったり、忙しいからテストや採点も全部やってもらおうであったりという使い方ではないのです。
もし利用するのであれば、アイデアの構想として使うことや、自分の足りない視点を見つけてもらうこととして使うことが想定されています。
さらには、言語生成の力に長けているため、英会話やプログラミング言語の生成にも役立つでしょう。
授業の利用だけではなく、校務での利用も想定されています。特に文書などの「たたき台」としての役割が大きいと考えられます。
AIは言語生成が得意であることから、文章の起案つくりに役立ちます。とりあえず、こんな形のものを作ってほしいとお願いすれば、サンプルが出来上がります。
それをそのまま使うのか、アレンジするのかは利用者にゆだねられています。
最後に、子どもたちが利用する場合は13歳以上で保護者の同意が必要になります。
AIはまだまだ学校教育に入ってきたばかりですが、積極的に利用されている先生方も増えています。直近では文部科学省による生成AIのパイロット校の募集がありました。
これから私も生成AIを利用し、様々な発信を行っていこうと考えています。