ノートを集める困難さ
授業で学習したノートを集めている先生方も多くいると思います。例えば、国語のノートを集めたときを想定してみましょう。主要教科ともいえる国語は毎日のように時間割に組み込まれています。そんな中でノートを集めてしまうと、翌日には返却する必要がでてきます。
ノートを集めるときは何か考え等を書かせたときや、評価をしたいときでしょう。
評価をする場合、評価基準に適しているかを確認しながら行うため、時間をかけてみることがほとんどです。しかし、日々の業務でじっくりとノートを見ている時間もありません。ましてや、翌日に返却するとなるとさらに大変です。
児童生徒に書かせた考え等を評価に生かすためノートを集めることは大変重要なことだと私は考えています。ノートを集めることによって子供たちの考えや文章、字の指導、個に応じた指導に生かすことが可能です。
しかし、これらの評価をするために果たしてノートを直接集める必要があるのでしょうか?
デジタル化したノートの集め方
教育DXと呼ばれて久しい昨今ですが、学校現場は未だにアナログの宝庫です。その最たる例がノートを集めることだと考えます。前述したようにノートを回収し評価に生かすことが極めて重要です。ただ、集め方をデジタルにしてみるのもよいでしょう。
方法は極めて簡単です。
写真に撮るだけです。
評価に活用したいページを写真に撮り保存しておくだけです。私は授業でノートを集めたい場合、子供たちにノートをもってきてもらい、iPadなどのタブレット端末で撮影しています。こうすることで子供たちのノートをデジタルで保存することが可能になります。
発達段階に応じて、子供たち自身の端末で撮影させ、共有ファイルにアップロードしてもらうというのもよいでしょう。
デジタル化したノートの評価
ノートをデジタル化することによってノート回収時に発生する持ち帰りや返却期日といった問題に直面することはありません。いつでもどこでも評価することが可能になります。
私は、デジタル化した子供たちのノートは、夏休みや冬休みといった長期期間中にまとめて評価しています。普段の学習では気になる子供たちのノートを画面上で確認し、直接アドバイスをしたり、指導に生かしたりしています。特定の気になる子供たちの確認に時間を割くことができ、授業改善にも役立ちます。特に記録に残す評価に関しては、評価基準を明確にしておけばどのタイミングで行っても同様の評価が可能です。ノートをデジタル化することで働き方に応じて負担のない業務が可能になります。
ノートをデジタル化して残すメリット
ノートのデジタル化にはメリットが2つあります。
1つめは、ポートフォリオとしての役割があることです。子供たちのノートを記録として残しておくと、通知表の作成や面談での資料となります。また、他のクラスとの学習内容の共有や、次年度に生かす授業の工夫などにも役立ちます。特に私は面談時に大きく役に立っています。保護者と話をする際に、ノートの記録を見せることで子供たちの学習の到達度や課題、成績等について双方の共通認識として示すことができます。さらに、通知表の作成時に判断に迷う子供たちがいた際に参考としても大きく役立ちます。
2つめは、返却が不要であるということです。ノートを集めると必ず返却する必要があります。日々の業務の中でノートを確認し評価し返却するにはかなりの負担があります。デジタル化はこれらの負担を軽減してくれます。もし、ノートにコメント等を書きたい場合、写真で撮った画像に書き込み子供たちの学習用端末に送信することもできます。書き方で気になった子供たちがいれば、その子供たちに直接ノートを持ってこさせ、その場で指導すればよいのです。
ICTを活用するように求められる時代ですが、全てをデジタル化する必要はないと考えています。しかし、これまでアナログで行ってきたことを少しでもデジタル化することで効果的なICT活用になるのではないでしょうか。