オミクロン株が流行し、全国一斉の休校とはならず地方自治体独自で休校もしくはオンライン授業を行っている学校も多く見られます。例えば、茨城県では2月1日から2月18日までの小学校におけるオンライン授業もしくは分散登校の措置が取られています。
文部科学省の調査によると1月26日時点で小学校は653校(全体の3.5%)、中学校は219校(全体の2.4%)、高等学校は127校(全体の3.6%)が休校となっています。また、日本経済新聞の調べ(2月16日)によると学級閉鎖や学年閉鎖を含めると6校に1校が一部でも休校になったと分かっています。
しかし、オミクロン株が収束していないにも関わらず、オンライン授業の終了や休校基準の緩和が横浜市や大阪府では検討されています。また、先日文部科学省ではオミクロン株の拡大後、学級閉鎖等の期間を5~7日から5日愛知度に短縮しています。
ここには、子どもたちというよりも、働く大人への配慮が大きく関与していると考えられます。
オンライン授業や休校による保護者の苦悩
特に小学校ではオンライン授業や休校になった場合、必ず保護者の存在が必要になってきます。実際にオンライン授業をしてみて、1年生や2年生では保護者の付き添いがないと満足にネットワークに接続をしたり授業への応答ができない現状にあります。これは、GIGAスクール構想の隠れた問題とも言えますが、1、2年生には満足に一人一台端末が配付されていません。そのため、学校で十分な練習ができないままオンライン授業を行っているのです。
もちろん、3年生以上であっても学校内のインターネット回線が不十分なためオンライン授業に向けたデモンストレーションが不可能なため準備不十分なままオンライン授業を行っています。
当然、子どもたちは操作方法も分からないまま授業に臨むのですから、保護者の協力は必須なのです。したがって、働く大人である保護者にとっては毎回操作方法を聞きに来る自分の子どもの対応をしなければならないので大きな負担となるのです。ましてや休校となれば1日中子どもが自由にいるわけですから保護者の負担も相当なものでしょう。
また、共働きでオンライン授業に参加できない子どもやインターネット回線が通っていない家庭の子どもは学校に登校しています。共働き世帯が増えているため、学級の半分の人数は登校しているという学校も存在しています。もはやオンライン授業なのか分散登校なのか分からない現状です。これほどまでの状態で休校となれば共働き世帯にも大きな負担を強いることになります。
オンライン授業や休校による教員の苦悩
オンライン授業や休校になると保護者だけではなく教員も大きな負担を強いられます。まず、オンライン授業に対応しなければならないという点です。教員がオンライン授業に順応できていないという記事が多く見らますが、実際は、教員がオンライン授業をできる環境が整備されていないのです。まず、校務用に配られるコンピュータの性能は十分といえるものではありません。おそらく最新のスマートフォンのほうがよっぽど良いものでしょう。さらに、必要なデジタル教材やインターネット回線は十分に揃っているわけではないのです。このような状況でオンライン授業をするのですから、当然うまくいかないのです。
さらに、オンライン授業であっても共働き世帯の増加で学校に登校しなければならない子どもは一定数います。その対応も求められます。オンライン授業をして画面上の子どもに対応しながら学校に登校している子どもにも対応するというハイブリッド授業です。登校している子どもがいる以上、教室の消毒やお弁当の対応等が教員に求められます。また、オンライン授業に参加できていない子どもに対しては個別に電話等の対応が必要になってきます。
休校になっても同様です。子どもたちは学校に来ませんが、学習環境を整えるためにプリントを用意したり、学校ホームページや電話での対応が求められます。
理解不足のオンライン授業と休校
結局、オンライン授業や休校となると保護者や教員の負担は減るばかりか増える一方です。企業や行政の協力が不十分なままオンライン授業や休校を行う限り、横浜市や大阪府のように休校の独自緩和を進めるのは致し方ないと思います。
しかし、この独自緩和によって保護者の負担は減るかもしれませんが、子どもたちの感染リスクは増大します。子どもの感染リスクよりも経済の停滞を優先する限りオンライン授業や休校というのはもはや持続可能ではないのでしょう。